経済学研究科?社会システムイノベーションセンターの衣笠智子教授は、衛藤彬史研究員(兵庫県立人と自然の博物館)、安田公治講師(青森公立大学)とともに、2025年3月24日に、養父市?大林賢一市長へ特区の規制緩和の効果と養父市の農業発展についての調査報告を行いました。養父市は、国家戦略特区として、規制緩和等を通じた中山間地域農業のモデルづくりに取り組んできており、特区指定から10年以上が経ち、取り組みは農地法をはじめとする国政にも影響を与え、市内にとどまらない影響を及ぼしてきたと考えられます。こうした取り組みがもたらす波及効果について、学術的観点からもその影響を定量的かつ客観的に示すと同時に、さらなる躍進に向けて、新たな規制改革案や社会実験、社会イノベーション等を通じた農業?農村分野における価値創造に向けた挑戦が求められます。
その研究として、まず、2023年度に養父市で行った農家アンケートのデータを用いた計量分析を行いました。その中で、農業のIT利用は農業へのやりがいを向上させうることや、農産物直売所は離農を抑制しうることを検証しました。また、農林業センサス個票を用いた分析を行い、法人形態であることは、農業の事業承継を円滑にさせうることが示されました。さらに、養父市のオーガニックビレッジ宣言に関して、養父市農林振興課および有機農業を行っている農業者に聞き取り調査の結果についても報告しました。衛藤研究員からは、ヘリテージマネジメントによる歴史的?文化的資源を活かした農業?農村振興について、詳細な聞き取り調査に基づいた提言が行われました。
今後も、共同研究を継続し、エビデンスに基づいた有益な政策提言をしていきます。
(経済学研究科?社会システムイノベーションセンター)